ここでは、エステでのクレジットカード決済導入の基本情報をご案内します。
エステサロンのビジネスとクレジットカード決済
エステやヘアサロンなどのように施術を提供する事業を「役務事業」と呼びます。クレジット決済業界でも「役務事業社」というカテゴリに分類されます。その中でも、回数券販売や前払いでのコース契約販売を「特定継続役務」と分類します。この「特定継続役務」部分においてクレジット決済の導入が困難であるという背景があります。これは瘦身などのエステサロンに限らず、脱毛サロンなども同様です。
これは消費者保護の観点から決済会社が高リスクの業種として考えていることに起因しています。そして毎年必ずそのリスクを裏付けるように有名サロンの閉鎖があることも事実です。そのような背景もあり、クレジットカード加盟店審査が厳しく、また対応不可の決済会社があるということとなります。
クレジット決済導入を検討する際には予め、自社での継続役務提供の有無を確認しましょう。その上で受け入れ可能な決済会社を選ぶことがスムーズに導入を進めるポイントとなります。
エステサロンはなぜクレジットカード決済導入が難しいのか?
前述の通り、エステサロンにおけるクレジットカード決済の導入は一般的に困難とされています。もう少し踏み込み解説すると、多くの場合、決済会社による加盟店審査で通らないケースがほとんどです。
その主な要因の一つが「コース契約」です。このような「コース契約」は、顧客が10回や20回など長期間にわたって利用することでお得な料金プランを提供するものですが、これは「特定継続的役務提供」に該当し、特定商取引に関する法律(特商法)によってクーリングオフや中途解約制度の適用が認められています。これはエステサロンだけでなく、語学教室や結婚相手紹介サービスなども同様のルールが適用されます。
このため、クレジットカード決済会社にとって、エステサロンはクーリングオフや中途解約のリスクが高い業種であると見なされます。それら返金手続きに関するコストだけでなく、もし万一エステサロンが倒産した場合には大きな損失を被る可能性も考えられます。そのような背景からエステサロンをはじめとする継続役務提供業種に対するクレジットカード会社の審査は厳しくなっており、結果として導入が難しくなっています。
エステサロンにおけるクレジットカード決済の必要性
クレジット決済の導入が難しいエステサロンですが、一方でクレジットカードの利用者との相性が良いという皮肉な事実もあります。
一般的に、エステサロンの顧客は可処分所得の高い層であると言われていますが、美容に時間と費用を惜しみなく投入できるような余裕がある方が多いのだと予想されます。それはクレジットカード会社の優良顧客と類似した属性となります。つまり、エステサロンに通う人ほど、日常的にクレジットカードを利用している人の可能性が高いということです。
この顧客層に対してクレジットカードではなく、現金のみの決済を求めることは得策でないということは容易に想像できます。
エステでのクレジット決済導入手順
一般的なエステでクレジットカード決済を導入するまでの流れは以下のようになります。
決済会社の選定:
エステでのクレジット決済導入においては、最も重要なポイントです。
決済会社選定時には継続役務の有無は必ず確認される点ですが、正直に回答し決済受入の可否を確認してください。継続役務がなければOKな場合もあれば、継続役務も可能な決済会社もあります。一方でエステサロンは全て不可という決済会社もあります。
加盟店契約:
次に、選択した決済会社とクレジットカード加盟店契約をします。
契約前には加盟店審査があり、決済会社に対して店舗情報やメニュー表などを提出し審査申請をします。審査期間は決済会社によって異なりますが一般的には1ヵ月ほどです。
端末やシステムの導入:
決済会社から提供される端末やシステムの設置をして使用可能な準備を整えます。例えばレジ横などに設置場所を確保してください。
社内研修後に利用開始:
操作方法の手順などをスタッフに研修し利用開始です。エステ施術での決済は高額になりやすいです。そのため、1回に決済できる限度額などもしっかり決済会社に確認しスムーズな運用ができるようにしましょう。
また不具合が発生した時などに備え、予め決済会社には対応窓口の有無や対応時間などを確認しておくことも重要です。
クレジットカード決済導入の手数料とコスト
エステでクレジット決済を導入する際に必要なコストは以下のようなものがあります。
初期費用:
クレジットカード決済用の決済端末費用やシステム導入費用です。決済会社によって金額は異なり、無料で提供している場合もあります。
月額費用:
システム利用料や端末利用料などの月額固定費用です。料金体系は決済会社によって異なりますが、同じく無料の場合もあります。
決済手数料:
決済会社が取引ごとに徴収する手数料です。売上金額の一定割合が手数料として引かれます。手数料率はカード会社や決済代行会社によって異なります。また継続役務の有無によって大きく変わってくる可能性があります。
その他、タブレット端末などを店舗側で準備必要な場合などには別途コストがかかります。ご注意ください。
エステサロンでのクレジットカード決済導入時の注意点
ここでは過去の事例からエステサロン固有の注意点をご紹介します。
先ず、コース契約や回数券販売など継続役務がある場合には決済会社に伝えましょう。虚偽申請で審査通過した場合にはペナルティが課される場合もあります。十分にご注意ください。
また継続役務がある場合には特商法に則った適切な契約をしなくてはなりません。クーリングオフ対応不備や、契約後に予約が取れないなどは要注意です。消費者問題に発展することは避けましょう。その場合には加盟店契約を解除される可能性もありますのでご注意ください。
エステはこれらリスクの観点から決済手数料が高く設定されている場合が多いです。更に支払いサイトも長い傾向にあります。これらは経営に影響を与える部分ですので加盟店契約前にしっかりと確認しましょう。
まとめ
本来エステサロンはクレジットカード決済と最も相性の良い業態の一つです。一方で、特商法の影響を受けクレジット決済の導入が難しいという課題もあります。しかし導入は決して不可能ではありません。
導入の際は実績豊富でエステサロン対応可能な決済会社を選ぶことが重要です。複数社から情報を集め、自社の最適な決済会社を選定しましょう。