POSの導入を考えたときに読むページ
はじめに
1. POSとは何か?
POS(ポス Point of Sale)とは、商品やサービスを販売する際に使用され、商品が販売された時点の情報を取得・管理するシステムや、そのシステムを搭載したレジや端末を指します。
もう少し判りやすく説明すると「どの商品が、いくらで、いつ、何個売れたか」といった情報を記録し集計するシステムというイメージです。一般的にはPOSレジやPOSシステム、POS端末という呼ばれ方をします。
POSは各種決済システムや在庫管理システム、また顧客管理システムなどと連動して利用されることが多く、店舗運営において幅広く重宝されるシステムとなります。
2. POS導入のメリット
POSシステムを導入することには多くのメリットがあります。
まず第一に、業務の効率化が挙げられます。POSシステムを利用することで、バーコードやQRコードのスキャンにより、商品情報や価格が自動的に読み取られ、レジ作業のスピードが向上します。これにより、長蛇の列や待ち時間を減らすことができ、顧客満足度も向上します。
また、正確な在庫管理が可能となります。POSシステムは在庫システムと連動し、販売された商品の数や種類、在庫の残量などをリアルタイムで把握することができます。これにより適切な在庫レベルを維持することができます。
さらに、売上データ分析を活用することで、販売動向や顧客行動の把握が可能となります。POSシステムは販売データや顧客情報を記録し、売上のトレンドや優良顧客を分析することができます。これにより、効果的なマーケティング戦略の策定や商機の発見が可能となります。
さらに、クレジットカードや電子マネーなどの電子決済を受け付けることができる点も大きなメリットです。顧客はキャッシュレスでの支払いが可能となり利便性が向上します。2024年3月に経済産業省が発表した報告(※)によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%まで上昇し、25年度までの政府目標である40%達成に向け堅調に拡大しているのでこの点も重要なメリットです。
それ以外にもセキュリティ向上・不正の防止や、販売ミス・金銭間違いの防止にも繋がるなど、店舗運営上では多くのメリットが考えられます。
(※)24年3月29日 経済産業省ニュースリリース より
3. POSシステムの種類と特徴
現在利用されている主なPOSシステムについてご紹介します。
まず、クラウド型のPOSシステムです。このタイプのPOSシステムは、インターネットを通じてクラウド上にデータを保存し、複数の端末からアクセスできます。特に小規模店舗や新規開業の店舗に適しており、初期投資が少なくすぐに導入できるのが特徴です。また、リアルタイムでデータを同期することが可能で、在庫管理や売上分析などの業務を効率的に行うことができます。
次に、店舗内にてデータ管理をするオンプレミス型のPOSシステムがあります。このタイプのPOSシステムは、店舗内のサーバーにデータを保存し、ローカルネットワークを介してアクセスします。セキュリティやカスタマイズ性が高いのが特徴ですが、導入には高額な初期投資が必要であり、管理や保守にもコストがかかる場合があります。
また、アプリ型のPOSシステムも注目されています。これは、タブレットやスマートフォンをPOS端末として活用するシステムで、店舗内での移動販売やイベント会場などでの利用も可能です。現在、最も手軽に導入できるPOSシステムで導入コストもほとんどかからないのが特徴ですが、カスタマイズ性などには欠けます。
その他、特定の業種に特化したPOSシステムも多数存在します。例えば、飲食店向けのPOSシステムではテーブル管理や注文管理機能が強化されており、飲食店の業務を効率化します。
4. POSシステム導入手順
POSシステムを導入する際の基本的な手順をご紹介します。
まず、自社にとってどんなPOSシステムが必要となるのかを考えます。店舗の業種や規模、業務の特性に合わせて、必要な機能や機器、システムの種類を明確に把握します。競合他社の導入事例を参考にすると良いです。また、予算や導入時期などの条件も洗い出しましょう。
次に、POSシステム提供会社(ベンダー)の選定です。複数のベンダーから情報を取り寄せて比較検討することをおすすめします。POSシステムは専門ベンダーだけでなく、キャッシュレス決済会社が一緒に提供していることもあります。複数社の中から最適な1社を選定し契約をします。
ベンダーとの契約後にPOSシステムの導入となります。導入に関する期間や手間は導入するシステムの種類によってかなり大きく異なります。アプリ型であれば最短即日で利用可能となる場合もありますが、大きなシステムや端末を導入の際には時間も要しますのでスケジュール管理も重要です。
POSシステムの導入後に利用可能のための各種設定を行い、使用方法のレクチャーを受け、いよいよ利用開始となります。アルバイトなど複数の店舗スタッフが利用する場合にはスタッフへの研修も重要です。しっかりとオペレーションを整えた後に利用開始してください。
万一のシステムトラブルに備え、契約したPOSベンダーの対応窓口もしっかり確認し、対応受付時間なども把握するようにしましょう。
5. POSベンダー選定のポイント
先ずは導入実績を確認しましょう。自社と類似した業種や同規模の店舗での導入事例が多い場合にはそのPOSシステムは自社と相性が良い可能性があります。
続いて導入コストや月額費用なども重要なポイントです。専門性が高く、カスタマイズ性に優れた、規模の大きいシステムほど導入コストも月額費用も高額になりやすいです。逆に、汎用的で機能の絞られたアプリ型などのPOSシステムはかなり低コストでの導入・運用が可能です。自社の状況に併せて複数社を比較することをおすすめします。
そしてシステムの拡張性も重要です。決済システムや在庫管理システム、顧客管理システムと連動することでPOSシステムはその力を発揮します。どのような拡張性があるのか、またそれにどれくらいのコストがかかるのか、それらを判断材料として加えることがよろしいかと思います。
最後に、もし導入したPOSシステムが自社にマッチしなかった場合を考えて、データ管理がどのような形でされるのかの確認も重要です。POSデータを抽出できるようなシステムであれば、別のPOSシステムに乗り換える際に過去の情報を活用出るかもしれません。
いずれにしても複数の会社から情報を取り寄せ、比較検討することが重要なポイントです。
まとめ
POSシステムは導入して終わりではありません。確かに導入するだけで業務効率化には繋がりますが、そのデータを分析し店舗運営に活用することでその効果を発揮します。
POSデータを眺めていると自社の顧客像が明確になり、「いつ、誰に、どの商品を、いくらで」提供することが効果的かなどが見えてきます。
つまりPOSシステムは未来予測に繋がるシステムと言えます。店舗経営においてこれほど重要なシステムですから今すぐ導入検討することをおすすめいたします。